かんばもち
寒さが増したこの季節、軽く炙った「かんばもち」が最高である。室戸でよくとれるサツマイモを使った干し芋を、もち米と一緒について作る餅。優しい甘さが心地よく、つい食べすぎてしまう。
同様の食べ物が九州にもある。長崎では「かんころもち」、熊本では「コッパ餅」。いずれもサツマイモの産地だ。遠く離れた土地で、似たような食文化が脈々と続いているのが興味深い。
九州は、桜島、阿蘇、雲仙など、活火山があちこちに点在する火山の島。そのため、火山灰が降り積もった土地が多い。
一方で室戸は、近くに火山など無い。代わりに、大昔の海底が隆起してできた台地が連なっている。海成段丘だ。段丘の上は海底に積もった砂や泥の土地だ。
全く異なる地質のようだが、共通することがある。火山灰も海底の砂泥も、水はけが良い。サツマイモはそうした土地を好むのだ。 目の前の現象に惑わされず、物事の本質を捉えることは大事なことだ。サツマイモの産地としての本質は、火山灰でも段丘でもない。水はけの良さだ。それを見抜いた人のお陰で、こうして美味しい思いができるのかもしれない。そんなことを考えているから、また食べすぎてしまうのである。