見聞の形
観光名所や飲食店で気になる光景がある。スマートフォンを片手に写真撮影に
没頭する人たち。多くの写真はSNSに投稿されるのであろう。
私もSNSの底なし沼に浸かったことがある。インターネット上で繋がった友人と話題を提供し合い、感情を共有できるのが魅力である。しかし、体験した出来ごと全ての成果がSNSに収束する生活に虚しさを感じて辞めた。
何をするにも五感の記憶より画像データ。体は現実世界にいるが、中身はデジタル世界に住んでいる。そんなSNS人間が増えている社会に、恐怖と不安を覚えている。まるでSF映画のようだ。
一方で、室戸岬のガイドさんからはこんな話を聞いた。ガイドを受ける観光客の質が変化しているという。以前は、景色を眺め、解説に頷き、写真を撮って帰るのが一般的であったのが、最近では解説を食い入るように聞き、質問をする人も多いそうだ。旅先のことをより深く理解したい、じっくり楽しみたいという人が増えてきているという。 旅や生活の様式が多様化する世の中、何が正解とも言えない。だからこそ、自分たちはどこを目指すか、という強い芯を持つことの重要性を感じる日々である。