四十寺山
四十寺山に登った。室戸高校の裏手の山である。
標高は三百メートル程度。山頂までは片道一時間弱。
道沿いの木々は前日の雨でうるおい、新緑が一層美しい。鳥たちのさえずりも賑やかだ。
六合目付近だったろうか。道端の無数の石の中に、気になるものを見つけた。やけに丸い石である。割ってみるとシジミ大の二枚貝の化石が顔をのぞかせた。
貝の化石があることは地元では昔から知られている。数千万年前の海底にたまった砂や泥が山を造っているのだ。
もうしばらく登ると、急に視界が開けて、下界を見下ろすことができる。数年前から地元住民が道を整備し、まもなく展望台もできるという。
麓を流れる室津川、室戸の市街地、その向こうには海も見える。足元の土地は、海底からこの高さを上がってきたのかと思うと、地球の偉大さと同時に人間のちっぽけさを実感する。
山頂には小規模ながらも立派なお堂がある。この日は縁日。先に登って草刈りや掃除を済ませていた地元の人たちとともに手を合わせた。 最後には土佐らしく宴会が始まり、最高の景色の中で最高の料理と酒をいただいた。人間とはちっぽけな存在だが、人間であることに喜びを感じる一日だった。